※この記事はホルムズ海峡の軍事ニュースを解説する記事ではありません。実際に塗料を発注している現場から見た「今の塗料供給」をお伝えします。
以前、
ナフサ不足で外壁塗装はどうなる?現場で実際に起きている“塗料不足の本当の話”
という記事を書きました。
ホルムズ海峡は中東産原油を運ぶ世界有数の海上ルートです。
塗料の原料になる石油化学製品にも影響が出るため、物流が混乱すると塗料メーカーにも影響が及びます。
ホルムズ海峡情勢のニュースを見て、
「また塗料が入らなくなるんですか?」
「工事は遅れますか?」
という質問をいただくことが増えました。
そこで今回は、ニュースではなく、実際に毎日塗料を発注している現場の立場から、
ホルムズ海峡情勢によるナフサ不足の問題、原材料の供給不安が、
今の塗料業界にどんな影響を与えているのかをお話しします。
結論から言うと、
工事が止まるほどではありません。
ただし、
「もう元通りです」とも言えません。
実際にはメーカーや塗料の種類によって状況はかなり違います。
ホルムズ海峡の影響で塗料不足は改善した?
ニュースでは、
「シンナーの供給改善」
「ナフサは足りている」
なんて言われてたりしますが、
現場からすると、実際のところは正直そんな実感はありません。
普段から取引している塗料販売店(問屋さん)に、
「今、本当に改善しているんですか?」
と率直に聞いてみました。
返ってきた答えは、
「メーカーによって全然違う。」

あるメーカーは以前より入りやすくなっています。
一方で、別のメーカーでは今でも納期が長く、
「注文は受けるけれど納期は未定」
という商品もあります。
つまり、「もう普通に入ります。」とも「全然入らない。」とも
簡単に言えないのが今の現状です。
4月6日に注文した錆止めが届いたのは、つい最近でした
実際、私たちの現場では4月6日に関西ペイントのある錆止めを注文しました。
メーカーには何度問い合わせても、
「注文は受けていますが、納期は未定です。」
という返答ばかりでした。
そして、そのとき注文した錆止めが届いたのは、つい先日のことです。
ニュースでは「物流は回復」と言われていますが、
現場では、
「まだ全然完全には戻っていないな。」
というのが率直な感想です。
ホルムズ海峡の影響で水性・溶剤塗料の納期はどう変わった?
「水性なら問題ないんですよね?」
と思われるかもしれません。
実際には、水性も溶剤も以前より時間がかかります。
比較すると、水性塗料の方が少し改善しています。
それでも、注文した翌日や2日後に届くような状況ではありません。
水性でも1〜2週間程度かかることがあります。
一方、溶剤系塗料はさらに時間がかかることが多く、
3週間前後待つケースもあります。
塗料不足で一番困るのは「材料が全部そろわない」こと

塗料は一つの材料だけで作られているわけではありません。
原料、顔料、添加剤など、
必要な材料がすべてそろって初めて出荷できます。
そのため、
どれか一つでも不足すると、その塗料は出荷できません。
さらに2液型塗料では、
主剤は届いたのに、
硬化剤だけ届かない。
そんなことも今では珍しくありません。
「あと硬化剤だけあれば塗れるのに……」
現場では、そんな歯がゆい思いをすることがあります。
下塗り材・錆止めは今でも不安定です
問屋さんから特に言われたのが、
プライマーや錆止めは今でも不安定。
ということでした。
実際、私たちも錆止めの納期で困りました。
下塗り材が届かなければ、
その先の工程へ進めません。
ニュースではあまり報道されませんが、
現場ではこういう影響が今でも残っています。
色によって納期が変わることもあります

一般の方はあまり知らないと思いますが、
塗料はベースだけでは完成しません。
顔料を混ぜて色を作るため、
色によって納期が変わることがあります。
以前なら、
「明日持ってきて。」
で届いていたものが、
今は数日から数週間待つこともあります。
だから私たちは、
「色だけは早めに決めていただけると助かります。」
とお願いしています。
色決めに関するアドバイスについてはこちらをご覧ください↓
▶外壁の色で後悔する人の共通点|現場で見てきた失敗しやすい色選び
ハウスメーカーと一般の塗装店では状況が違うこともあります

これも現場ならではの話です。
実はメーカーによっては、ハウスメーカーやゼネコン向けを優先して出荷しているケースがよく見受けられます。
大量に使う会社や長年取引している会社には比較的優先的に出荷され、これまでと同じように調達できているというところが多いです。
逆に、一般の塗装店は後回しになって納期が大幅に遅れる、ということが起きています。
そのため、
「普通に入るよ。」
という業者もいれば、
「まだ全然来ない。」
という業者もいます。
これ、どちらかが間違っているわけではなく、立場や仕入れルートによって状況が違うからです。
大手メーカーの塗装工事の裏側についてはこちらをご覧ください↓
価格は戻っていません

全体で見れば、材料は少しずつ入りやすくなってきています。
でも、価格は戻りません。
現場感覚では、商品によって差はありますが、20〜35%ほど高い状態が続いています。
中にはそれ以上値上がりした商品もあります。
厄介なのは、一度上がった価格は、なかなか元には戻ることはないってところ。
最近、
「塗装工事が高くなった。」
と感じる方も多いと思います。
それは業者が利益を増やしているというより、
材料費そのものが高い状態で続いていることが大きな理由です。
だからといって「今すぐ契約しないともっと高くなる」という話ではありません。
むしろ価格だけで急いで契約する方が失敗しやすいので、工事内容をしっかり比較することが大切です。
良い業者の見極め方はこちらをご覧ください↓
現場経験者が教える|優良な外壁塗装業者の見分け方【質問編】この質問でかなり分かります
現場経験者が教える|優良な外壁塗装業者の見分け方【回答編】実は答え方でかなり分かります
まとめ
ホルムズ海峡情勢による影響は、
工事が止まるほどではありません。
しかし、
「もう完全に元通り。」
とも言えません。
現場で感じているのは、
- メーカーによって納期が大きく違う
- 水性も以前より時間がかかる
- 溶剤系はさらに時間がかかる
- プライマー・錆止めは今でも不安定
- 2液塗料は硬化剤だけ届かないことがある
- 色によって納期が変わる
- ハウスメーカーなどが優先されるケースもある
- 価格は20〜35%ほど高いまま
という状況です。
ニュースだけでは「物流が回復した」で終わってしまいますが、実際の現場ではもっと細かな影響が続いています。
これからも、毎日現場で感じた変化を職人目線で正直にお伝えしていきます。
よくある質問
Q. 今すぐ塗装を延期した方がいい?
A.工事はできます。
ただし色や塗料によって納期が変わるため、早めに業者へ相談することをおすすめします。
Q. すべてのメーカーで同じ状況ですか?
A.違います。
メーカーや製品によって納期は大きく違います。
Q. 今後さらに値上がりしますか?
A.可能性はあります。
実際、現場では一度上がった価格は下がりにくい傾向があります。
Q. ホルムズ海峡の問題が落ち着けば、塗料価格も元に戻りますか?
A. 現場の感覚では、一度上がった価格が元に戻るケースは多くありません。
原材料価格や物流費が落ち着いても、そのまま価格が維持されることが多い印象です。

