「去年塗装したばかりなのに、もう塗膜が剥がれてきた…」
そんなご相談をいただくことがあります。もし今、同じような状況で悩んでいるなら、最初にお伝えしたいことがあります。
「外壁塗装は、きちんと施工されていれば、1年程度で剥がれることはほとんどありません」
もちろん、特殊な下地や塗料の相性など例外はあります。しかし、塗装歴25年以上の現場経験から言うと、施工後1年ほどで剥がれてくる場合、施工不良が関係しているケースは少なくありません。
「まだ1年だからこんなものかな」と納得しないでください。今回は、外壁塗装が早期に剥がれる原因と、現場で見てきた施工不良のサインについてお話します。
この記事の結論
✅ 外壁塗装が1年で剥がれるのは正常とはいえません。
✅ 施工不良や下地処理の不備が原因になっている可能性があります。
✅ まずは自分で補修せず、保証書を確認したうえで施工業者へ相談しましょう。
外壁塗装が1年で剥がれるのは普通?
塗装工事は、単に見た目を綺麗にするだけではありません。雨や紫外線から家を守るための大切な工事です。
外壁塗装は通常10~15年前後使用されることを想定して施工されます。
そのため、施工から1年程度で塗膜が剥がれるのは一般的とはいえません。
もちろん自然災害や強い衝撃など例外はありますが、何もないのに剥がれた場合は施工不良を疑う必要があります。
適切に施工されていれば、数年で突然剥がれてくることはほとんどありません。
実際、現場で見ていても、施工後1年以内の剥がれはかなりまれです。
だからこそ、早期の剥がれには何かしら原因があると考えたほうが良いでしょう。
外壁塗装が1年で剥がれる原因
現場の経験から、早期剥がれを引き起こす主な原因を挙げます。
高圧洗浄不足

塗装前には高圧洗浄を行います。外壁には、ホコリ・排気ガス・コケ・カビ・古い塗膜の粉などが付着しています。これらをしっかり落とさないまま塗装すると、塗料は外壁に密着しません。高圧洗浄は地味な工程ですが、塗装の寿命を左右する非常に重要な作業です。
下地処理の手抜き(最大の要因)

個人的には、これが最も多い原因だと思っています。ひび割れ補修、ケレン作業、古い塗膜の除去、サビ落とし。こうした下地処理を丁寧に行うかどうかで、塗装の耐久性は劇的に変わります。どれだけ高級な塗料を使っても、下地処理が雑だと意味がありません。「塗料より下地処理が大事」と断言できるほど、重要な工程です。
その辺りについては、こちらで詳しく書いています↓
外壁塗装は「塗料」より下地処理が大事です|実はここで耐久性かなり変わります
乾燥時間不足

塗装には、下塗り・中塗り・上塗りそれぞれに適切な乾燥時間が必要です。しかし、工期を急いだり無理なスケジュールで進めたりする業者だと、十分乾かないまま次の工程へ進んでしまう、ということが起きてしまう。
そして、完成直後は綺麗に見えるというのがまたやっかいなところ。塗膜同士が密着していないため、数か月から1年で剥がれや膨れにつながります。
下塗り材の選定ミス

外壁塗装では、外壁の種類や劣化状況に合った下塗り材を選ぶことが重要です。
例えば、傷みが進んで吸い込みが激しい外壁に適切な下塗り材を使わないと、塗料が十分に密着せず、施工後わずか1年ほどで剥がれや膨れが発生することがあります。
また、既存の塗膜との相性が悪い下塗り材を使用した場合も、塗膜が密着せず早期剥離の原因になります。
私が25年以上現場で見てきた中でも、下塗り材の選定ミスは、早期剥離につながる代表的な原因の一つです。
下塗りは仕上げ塗料をしっかり密着させる「接着剤」のような役割があります。外壁の状態を正しく診断し、それに合った下塗り材を選ぶことが、長持ちする塗装には欠かせません。
現場で実際に多い原因ランキング
🏆1位 下地処理不足
🥈2位 高圧洗浄不足
🥉3位 下塗り材の選定ミス
4位 乾燥時間不足
5位 下塗り不足
私が25年以上現場で見てきた中では、この順番で多い印象です。
剥がれ方で原因が分かることもあります
塗膜の剥がれ方を見ると、原因をある程度推測できることがあります。
ただし、見た目だけで原因を断定することはできません。
最終的には現地調査が必要ですが、次のような傾向があります。
| 剥がれ方 | 考えられる原因 |
|---|---|
| ベロンと一枚めくれる | 下塗り不足や密着不良 |
| ポロポロ細かく剥がれる | 下地の劣化・塗膜の劣化 |
| サッシやコーキング周りだけ剥がれる | コーキングの施工不良や密着不良 |
| 一面だけ剥がれる | 下地処理不足や施工不良 |
ベロンと一枚めくれる
塗膜が一枚の膜のように剥がれる場合は、下塗り不足や下塗り材の選定ミスなど、塗膜が下地に十分密着していない可能性があります。
ポロポロ細かく剥がれる
細かく欠けるように剥がれる場合は、下地自体が傷んでいたり、既存塗膜が劣化していたりすることがあります。
サッシやコーキング周りだけ剥がれる
サッシ周りは動きが大きく、コーキングとの取り合いもあるため、施工方法によっては部分的に剥がれやすい場所です。
一面だけ剥がれる
建物全体ではなく、一つの面だけ剥がれている場合は、その面だけ施工条件が悪かったり、下地処理が不十分だった可能性があります。
私が25年以上現場で見てきた中でも、1年程度で一面だけ剥がれているケースでは、施工工程に原因があることが多い印象です。
剥がれ方は原因を推測する手掛かりにはなりますが、見た目だけで判断せず、施工会社や専門業者に確認してもらうことをおすすめします。
現場で感じる「怪しい業者」の共通点
施工不良を起こしやすい業者には、いくつか共通点があります。
現地調査が極端に短い
写真をほとんど撮らない
説明が少ない・質問に曖昧な返事をする
見積書が大ざっぱ(「一式」ばかりなど)
もちろん全ての業者ではありませんが、工事前の対応と工事品質は密接に関係しています。丁寧な業者は、調査も説明も、見積書も、そして現場作業もすべて丁寧です。
優良業者の見分け方のコツはこちら↓
現場経験者が教える|優良な外壁塗装業者の見分け方【質問編】この質問でかなり分かります
外壁塗装の失敗を防ぐ!相見積もりで最後に契約しがちな理由と優良業者の見分け方

もし剥がれてしまったら:まず確認すべきこと
もし塗装後1年ほどで剥がれたら、まずは契約書や保証書を確認してください。そして、剥がれている部分の写真を撮っておきましょう。できれば「全体写真」と「剥がれている箇所の拡大写真」の両方を残しておくと、後々非常に役立ちます。
その上で、施工した業者へ冷静に連絡を入れます。
実際現場でも、こういうやり方で伝えてもらったら家の人の言い分も分かりやすいし、ちゃんと対応しなくちゃ、となりやすいと思います。
業者へ送るメール例文
件名:塗装後の剥がれについて確認のお願い
お世話になっております。
昨年施工していただいた外壁塗装についてご相談です。
施工後1年ほどですが、一部で塗膜の剥がれが確認できました。
状況を撮影した写真もありますので、一度現地確認をお願いできますでしょうか。
保証内容も含め、今後の対応についてご相談させていただければと思います。
よろしくお願いいたします。
自分で補修してはいけない理由

外壁塗装が1年~数年ほどで剥がれると、「とりあえず自分で塗って直そう」と考える方もいます。
しかし、早期に剥がれた塗膜は自分で補修しないことをおすすめします。
保証の対象外になる可能性がある
施工から1年で剥がれた場合は、施工不良や下地処理の問題が原因の可能性があります。
しかし、自分で補修してしまうと、施工会社から「補修後の状態では原因を判断できない」と言われ、保証の対象外になる可能性があります。
まずは写真を撮り、保証書を確認したうえで施工会社へ相談しましょう。
本当の原因が分からなくなる
塗膜が剥がれる原因は、下塗り不足・高圧洗浄不足・乾燥時間不足・下地処理不足などさまざまです。
表面だけを塗り直しても、原因が解決していなければ再び剥がれる可能性があります。
また、自分で補修すると、施工会社や第三者が現地を確認した際に、本来の剥がれ方や原因を正確に判断しにくくなることもあります。
まずは現状を残すことが大切
1年以内の剥がれは、経年劣化ではなく施工不良が疑われるケースも少なくありません。
そのため、
- 剥がれた部分の写真を撮る
- 剥がれた時期を記録する
- 保証書を確認する
- 自分では補修せず施工会社へ連絡する
この順番で対応することが、原因を正しく特定し、保証を受けるためにも重要です。
放置するとどうなる?

「少し剥がれただけだから、しばらく様子を見よう。」
このように考えてしまう方もいますが、塗膜の剥がれを放置すると、塗装だけの問題では済まなくなることがあります。
防水性が低下する
外壁塗装には建物を美しく見せるだけでなく、雨水から外壁を守る役割があります。
塗膜が剥がれると防水性が低下し、雨水が外壁に浸み込みやすくなります。すぐに雨漏りするとは限りませんが、放置するほど建物への負担は大きくなります。
下地の劣化が進む
塗膜で守られていた外壁が雨や紫外線に直接さらされると、サイディングやモルタル、木部などの下地が傷みやすくなります。
一度劣化した下地は、塗装だけでは元に戻らず、補修工事が必要になるケースも少なくありません。
雨漏りにつながることもある
剥がれた部分からすぐに雨漏りするとは限りません。
しかし、塗膜の劣化を放置して下地まで傷んでしまうと、建物内部へ水が入り込み、雨漏りにつながる可能性があります。
私は25年以上現場に携わってきましたが、「最初は小さな剥がれだったのに、気付いたときには下地まで傷み、補修費用が大きくなっていた」というケースを何度も見てきました。
絶対に役に立つ雨漏りシリーズはこちら↓
雨漏りはどこに相談すればいい?25年の現場職人が教える正しい相談先
散水検査とは?雨漏りの原因を見つける方法|費用や流れを雨漏り診断士が解説
【雨漏りは塗装では直らない】雨漏り診断士が教える本当の原因と正しい直し方
雨漏り修理の費用は?25年の現場職人が教える「調査費用」と「修理費用」の違い
修理費用が高くなる
早い段階であれば、部分補修や保証対応で済む場合もあります。
しかし、放置して劣化が広がると、下地補修や張り替え、防水工事などが必要になり、修理費用が大きくなることがあります。
剥がれを見つけたら、「そのうち直そう」と放置せず、できるだけ早く施工会社へ相談することが大切です。
「様子を見ましょう」と言われたら?
塗装して1年ほどで剥がれたにもかかわらず、
「これくらいなら問題ありません。」
「様子を見ましょう。」
「少し剥がれることもあります。」
このように説明されることがあります。
しかし、私は25年以上現場に携わってきましたが、1年程度で剥がれた塗膜を「様子見」で終わらせることはありません。
まずは現地で、
- 剥がれ方
- 下地の状態
- 下塗りの密着状況
- 他の場所にも同じ症状が出ていないか
を確認し、原因を調べます。
なぜならすでに説明した通り、1年で剥がれる塗膜は、施工不良や下地処理の問題が隠れている可能性が高いからです。
もちろん、飛来物や強い衝撃などが原因で部分的に剥がれるケースもあります。
しかし、原因を確認せずに「様子を見ましょう」と判断すると、その間に劣化が進み、補修範囲が広がることもあります。
このような場合はセカンドオピニオンも検討しましょう
次のような対応をされた場合は、他社に点検を依頼することも一つの方法です。
- 「様子を見ましょう」と説明だけで点検をしない
- 剥がれた原因を説明してくれない
- 保証の対象かどうかを確認してくれない
- 写真や調査をせずに問題ないと言われた
原因をきちんと説明してくれる業者であれば、補修が必要かどうかも含めて納得できる判断ができます。
「大丈夫と言われたから安心」ではなく、「なぜ大丈夫なのか」を説明してもらうことが大切です。
まとめ
大切な家だからこそ、泣き寝入りしないでください
外壁塗装が1年程度で剥がれた場合、「そんなものかな」で終わらせないでください。まずは写真を残し、保証書を確認し、業者へ連絡すること。これが最初にやるべきことです。
もし業者の説明に納得できない場合は、第三者の専門家へ相談するのも一つの方法です。
「1年で剥がれるのは仕方ない」と決めつけないでください。あなたの家を守るための大切な工事です。納得できないまま我慢せず、まずは状況を確認し、しっかりと対応を求めていきましょう。

